代車の必要性が認められたとして、手配できる車の種類はどのようになるのでしょうか。レンタカーの料金相場では、高級車になるほど費用もかさむことから、代わりにどのような車を用意すべきかが重要なポイントとなります。

 無論、大衆車が使えなくなった代わりに高級車を手配しろというように、元の車より明らかに車格が高くなる場合は認められないでしょうが、被害者としてはせめて同等の車格の車を用意しろと言いたくなるでしょう。

 他方、車を使うことができない不便の解消のため代車を手配するのであるから、乗用できる代車を手配すれば最低限の目的は達成できると考えることもできます。

 この点が問題となる裁判例は、大体「事故に遭った車両が高級輸入車で、代車として高級国産車を用意された。(あるいは高級国産車のレンタル代金相当額を提示された。)」というパターンが多いようです。前回で触れた必要性の部分は、ハイヤー業や接待に用いるという主張がなされているようです。

 裁判例は、高級輸入車の代車は高級国産車で足りるとするものが主流のようです。ただ、高級輸入車でなければならない必要性、高級国産車とすることのできる代替性といった要素を考慮しているようであり、どうしても高級輸入車でなければならない事情が立証できれば結論は変わりそうです。

 代車は、保険会社が提携のレンタカー会社を通じて手配することが多いようですが、被害者によっては自分でレンタカーを借りて、費用のみを請求することも考えられます。この場合でも、裁判例では、相当程度の費用分までしか賠償が認められていません。勝手に高級輸入車をレンタルしても、保険会社から支払ってもらえるのは高級国産車のレンタル代金相当額までとなることが多いでしょう。

 次回は、代車を用いることが認められるのは、どの程度までの期間であるのかについて触れてみようと思います。