お久しぶりです。ゴールデンウィークも過ぎ、夏が少しづつ近づいておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 今回は、細かい話なのですが、診断書の作成費用について説明したいと思います。

 まず、交通事故に遭い、治療をすると、通常は保険会社が治療費を直接病院へ支払ってくれますが、この治療費の明細をよくみると、診断書・診療報酬明細書の作成費用が含まれています。高額な場合は8000円程度とられていることもあります。

 それでも、保険会社が付いている通常の場合は特段問題はないのですが、相手方に自賠責保険のみしか付いていない場合には、問題が生じることもあります。なぜなら、診断書・診療報酬明細書の作成費用が多額だと、賠償の上限額にすぐに至ってしまう可能性があるからです。

 また、健康保険を利用した場合、診断書・診療報酬明細書が、作成されないこともあります。この場合、診断書を後に作成する必要が生じたとき、作成費用が後にまとめて必要になる可能性が出てきます。

 この、後に作成が必要となる場合とは、要するに後遺障害等級の申請をするときです。
自動車損害賠償補償法施行令において、

(保険会社に対する損害賠償額の支払の請求)

第三条  法第十六条第一項 の損害賠償額の支払の請求は、次の事項を記載した書面をもつて行わなければならない。
 請求する者の氏名及び住所
 死亡した者についての請求にあつては、請求する者の死亡した者との続柄
 加害者及び被害者の氏名及び住所並びに加害行為の行われた日時及び場所
 当該自動車の道路運送車両法 の規定による自動車登録番号若しくは車両番号、地方税法 (昭和二十五年法律第二百二十六号)第四百四十六条第三項 (同法第一条第二項 において準用する場合を含む。)に規定する標識の番号又は道路交通に関する条約の規定による登録番号(これらが存しない場合にあつては、車台番号)
 保険契約者の氏名及び住所
 請求する金額及びその算出基礎

 前項の書面には、次の書類を添附しなければならない。
 診断書又は検案書
 前項第二号及び第三号の事項を証するに足りる書面
 前項第六号の算出基礎を証するに足りる書面

 という規定がされています。
 第16条1項の場合とは、いわゆる被害者請求をする場合です。この場合に、2項に記載されているように、診断書と診療報酬明細書が必要となります。(診断書が1号、診療報酬明細書が3号に該当します。)

 問題は、被害者請求をしても、作成費用等が認められないこともあるという点です。診断書等を精査した結果、事故と因果関係のある損害ではない、治療内容が不相当である、など、賠償しないという判断がなされるリスクがあるのです。

 したがって、むやみに作成すればよいと言うものでもありません。
 困った時には、自賠責の担当者と話し合うべきですが、一つの方策として、数か月分をまとめて1通の診断書等を作成してもらうという方法が考えられます。対応してくれる病院と、してくれない病院があるようですが、場合によっては診断書等の作成費用を下げることが可能です。

弁護士 水野太樹