寒い日が続くようになりましたね。体調にはどうかお気をつけ下さい。
 今回は危険運転致死傷罪について紹介致します。

 危険運転致死傷罪(刑法208条の2)は、自動車の無謀運転による悪質かつ重大な交通事故事犯に対応するため、平成13年に新設されました。危険運転行為は重大な死傷事故をもたらす危険が高い行為として、暴行に準じたものと捉えられます、そこで、危険運転致死傷罪は、暴行により人を死傷させる罪に準じるものとして「傷害の罪」の章に規定され、法定刑の上限も致傷の場合懲役15年又は致死の場合懲役20年とされています。

 危険運転致死傷罪は、故意による危険行為から死傷の結果が生じた場合に成立します。そのため、危険運転行為の危険性は自動車の運転者によって認識される必要があります。

 危険運転致死傷罪は、4類型に分かれています。

 第1は、酩酊運転です。酩酊運転は、アルコール又は薬物の影響のよって正常な運転が困難は状態で4輪以上の自動車を走行させ、よって、人を死傷させた場合です。

 第2は、高速度・未熟運転です。高速度・未熟運転は、進行を制御することが困難な高速度で、又は進行を制御する技能を有しないで4輪以上の自動車を走行させ、よって、人を死傷させる場合です。

 第3は、妨害運転です。妨害運転は、人又は車の通行を妨害する目的で、通行中の人又は車に著しく接近し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で4輪以上の自動車を運転し、よって人を死傷させた場合です。

 第4は、信号無視運転です。信号無視運転は、赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で4輪以上の自動車を運転し、よって、人を死傷させる場合です。

弁護士 大河内由紀