路肩に駐停車していた場合

 高速道路では、故障等やむを得ない理由で、駐停車する場合について、十分な幅員のある路肩・路側帯への駐停車を許容しています(道交法75条の8第1項2号)。故障等で運転できなくなったときに本線車道以外の場所に移動するための措置を講ずることは法も要求するところです(道交法75条の11第2項)。
 他方、路肩・路側帯は原則走行禁止です(道交法17条1項)。
 十分な幅員のある路肩にやむを得ず駐停車していた場合の追突事故では、基本過失割合は、追突車100、被追突車0とされます。※3
 道交法が許容しているのは、やむを得ない理由で、駐停車に十分な幅員のある路肩・路側帯内での駐停車です。路肩等からはみ出して駐停車していた場合には、被追突車側の過失が20程度加算修正されうるところです。
 とはいえ、エンジントラブルの場合、十分な幅員の路肩までたどり着けない場合もあるでしょう。“はみ出し”と言えるレベルであることが前提ではありますが、この場合も、三角表示板等を設置しておくことは、“はみ出し”による加算修正を一定程度減少させうる事情となります。

まとめ

 三角表示板(停止標示器材)は携行義務が課せられておらず、国産車でも標準装備とされていない場合があります。停止標示義務は、ハザードランプを点灯させただけでは履行したことになりませんので、過失割合への影響や反則金、違反点数等に鑑みると、いざ高速道路上で駐停車せざるを得ない状況となった場合に備え、予めその有無を確認しておき、ない場合は購入しておくべきでしょう。

【参照】
※1 別冊判例タイムズ38 「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版」476頁【320図】
※2 別冊判例タイムズ38 「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版」481頁【326図】
※3 別冊判例タイムズ38 「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準全訂5版」484頁【327図】