休業損害とは、事故による傷害のため、休業又は不十分な就労を余儀なくされ、治癒又は症状固定の時期までの間に得られたはずの利益を得られなかったことによる損害を言います。そのため、金銭収入のない専業主婦(又は、専業主夫)には、金銭としての「得られたはずの利益」はありません。

 しかし、家事労働は財産上の利益を生ずるものであることは、最高裁判所も認めており、交通事故による傷害のため、家事労働を休業又は不十分な就労を余儀なくされた場合には、現金収入のない専業主婦であったとしても、休業損害が認められうるのが現在の実務です。また、兼業主婦の場合には、現実収入の減収の他に家事労働の休業分も加味して損害として認められる傾向にあります。
 なお、たとえ家事労働をしていたとしても、単身者の家事労働は、自分のためのものであるため、休業損害は認められることは困難です。