1.はじめに

 皆様、こんにちは。
 今日は、診断書やカルテなどの医療記録の重要性について考えてみたいと思います。

 被害者の方としては、事故に遭って仕事を休まざるを得ないなど今までの日常生活が一変することもあり、治療に専念して、医師の作成した診断書やカルテなどの医療記録にどのような内容が記載されているかを気にする余裕がないかもしれません。

 しかし、この診断書や医療記録(カルテ)の記載内容が、負傷と事故との因果関係、治療の必要性や相当性、後遺障害認定などの損害の認定において、重要な影響を与えることがあるのです。

2.医師への信頼!?

 もちろん、医師の方々は、患者の方の治療を第一に考えているはずであり、適切な医療行為をしてくれるものと思います。

 しかし、診断書やカルテなどの医療記録についてきちんと記載がなされているかどうかは別問題です。痛みなどの症状や、時には傷病名として必ずしも十分に記載されているわけではないことがあります。

 このような場合、第三者としてうがった見方をすると、被害者の方が訴える痛みなどの症状を資料として確認できないことから、本当に症状としてあるのかどうか疑問をはさむことも出来ます。

 こうして、損害賠償という観点からは、負傷しているにもかかわらず事故との因果関係がないと争われたり、治療の必要性や相当性がないとして争われたりする可能性が出てくるのです。

3.気を付けておきたいこと

 上記のように争われる事態を少しでも避けるために、治療中から医師に痛みなど自分の症状をきちんと伝え、診断書やカルテなどの医療記録に、症状等について具体的な記載をしてもらうよう求めておくことが重要になります。

 たとえば、症状としては、どこにどのような痛みがあるのか、痛みはどのような時に生じるのか、痛みだけではなく、痺れや関節が動かないなどの症状はないか、など個別具体的に伝えた上で、このような症状等を診断書にもきちんと書いて記録として残してもらうようにお願いすることも必要になります。後遺障害の認定が認定されるかどうかにあたって、検査結果だけではなく、被害者の方が一貫して痛みや痺れなど訴えているかどうかが重要になることもあり、きちんと痛みや痺れ等を治療の初期からしっかり医師に伝えておくことが重要です。

 そして、こうして症状等をきちんと伝えておくことで、医師からも適切な治療を受けるということにもつながります。

 その他にも、神経学的検査やレントゲンやMRIの検査結果なども記載してもらうことも重要です。

4.最後に

 痛みなどの症状を少しでも緩和するために、被害者の方に治療に専念していただくことはとても重要なことだと思います。ただ、今日私がお話しした診断書やカルテなどの医療記録の重要性についても、頭の片隅にでもおいていただけると幸いです。

 治療中でもご心配なこと等があれば、一度、弁護士に相談してみるのもいいと思います。