1.はじめに

 皆様、こんにちは。

 今日は、事故車両に関する損害に関して、実務上もよく問題となる、事故車両の事故当時の時価額について話したいと思います。

 なぜ問題になることが多いかというと、実務において、基本的に、事故当時の車両価格(又は車両価格に買替諸費用を加えた価格)と修理費のいずれか低いほうが賠償の対象になるためです。例えば、修理費として100万円という高額な修理費を要する事故に遭ったとしても、事故当時の車両時価額として70万円という算定がされる場合には、車両時価額のほうが低くなるので、基本的には、車両時価額の賠償しかされないことが多いのです。

 この車両時価額について、最高裁は、車両の時価とは、同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得するに要する価格をいうとしています(最高裁判決昭和49年4月15日)。

2.レッドブックとは?

 車両時価額の算定においては、実務上、有限会社オートガイド発行の『自動車価格月報』(いわゆるレッドブック)が参考にされることが多いです。当該中古車市場価格は、一定の標準的な条件下での車両を前提とした価格でありますので、これに当該車両の個別的事情(使用状態、走行距離等)による加算または減算をすることで、時価額を算定するのが一般的とされています。

 レッドブックは、国産乗用車、商用車、軽自動車・二輪車、輸入自動車の合計4種類に分かれて発行されています。

 そして、各メーカーの主な車種が形式、年式で整理されており、それぞれに新車販売価格や中古での価格が記載されています。

3.実際の中古車市場価格

 ただ、上記のようなレッドブックだけで車両時価額が判断されるとは限らず、実際の中古車市場の価格も時価額の判断材料になるとされています。例えば、インターネット上でも、中古車の取引がなされていますが、そこで掲載されている車両の価格を参考にすることもあります。

4.最後に

 事故車両に関する損害として、修理額が基本な損害額になるのはもちろんですが、修理額が高額になるような場合など事故当時の車両時価額が問題となることも多いです。そのような場合には、一度、事故車両に関する損害について、弁護士に相談してみても良いかもしれません。