1 はじめに

 こんにちは、弁護士の辻です。
 交通事故に関する仕事をしていると、「むちうちになった」などという言われることがあります。
 皆様も、漠然とむちうちがどんなものかについてイメージをお持ちだと思いますが、今回は、「むちうち」というものが何なのかについて、少し詳しくご説明します。

2 むちうちとは

 むちうちとは、実は傷病名ではありません。
 単なる、受傷機転(原因)を示す用語です。
 むちうちという言葉の由来は、第1次世界大戦時に、戦闘機のパイロットに頚部痛などを訴える者が続出したことにさかのぼります。
 調査の結果、戦闘機が離陸するときの加速によって首が過屈曲、過伸展して頚部を損傷したと分かり、過屈曲、過伸展の動きが「whiplash(むちで打つ)」に似ているということから、アメリカの医学者によって、「whiplash injury of neck」と発表されたことが始まりと言われています。

 このように、むち打ちとは、事故に遭い、首が過伸展、過屈曲(むち打ち運動)した後に生じた損傷を意味するとされています。

3 むちうちの原因は?

 むちうちの症状が発生する医学的な原因については、頚部が揺さぶられたことにより頭頚部に生じた衝撃によって、骨折や脱臼が認められない頚部脊柱の軟部支持組織(靭帯・椎間板・関節包・頚部筋群の筋、筋膜)の損傷が起こるという風に捉えられているようです。

 病院で診断される傷病名としては、頚椎捻挫、外傷性頸部症候群などといった傷病名つけられることが一般的だと思われます。

4 おわりに

 最近はヘッドレスト装着により、むちうち運動が生じ難くなっていますが、むちうち損傷を訴える被害者の方は減少していないと言われます。
 追突などで、首が痛くなったら、むちうちかもしれませんので、一度お医者様にご相談ください。