任意保険に加入していない状態で事故に遭った場合、事故当事者は、相手方当事者と直接話し合いをしなければなりません。
 任意保険の役割として小さくないのが、交通事故の示談代行のサービスなのですが(普通に生活を送っていれば、見知らぬ他人と金銭交渉をしなければならない場面はそう多くはないでしょうから、仮に交通事故に巻き込まれてしまったとして、その示談交渉を引き受けてもらえるだけでも当事者としては非常に助かるものです。)、保険に加入していない以上、当然ですが全て自分ひとりで保険会社の担当者や代理人の弁護士と金銭交渉をする必要があるのです。

 そして何よりも、当然のことながら、自動車の運転によって生じる損害の全てを、自ら負担しなければならない。
 私が弁護士としてこれまで担当してきた事案の中で、最も高額な物損額は1000万円近くにものぼります。人身傷害ならば、賠償すべき金額が1億円を超えることが少なくないことは、多くの方がご存じでしょう。自賠責保険に入っていたとしても、それから支払われる保険金は、最大でも4120万円。ひどい事故を起こしてしまったら、到底損害額として賄い切れるものではありません。