1 はじめに

 皆様、こんにちは。
 今日は、平成25年6月公布、平成27年6月1日に一部施行された改正道路交通法について取り上げたいと思います。

 改正の大きなポイントは、自転車の取り締まりの強化と免許の有効期間に関する規定の整備がありますが、今回、テーマとして取り上げるのは前者です。
 違反を繰り返す自転車の運転者へ自転車運転者講習を義務づけたなどとして、テレビ等のメディアでも取り上げられていたりするので、すでにご存じの方も多いと思います。
 自転車は、自動車と異なり運転するために免許が必要とされておらず、今回の改正は、大人だけでなく、子供にも広く影響を与えるものです。

2 改正部分

 改正道路交通法では、自転車の取り締まりの強化として、自転車運転者講習の受講命令(道路交通法(以下、「法」といいます。)108条の3の4)が定められ、この命令に従わない者には罰則が科されることになりました(法120条1項17号)。

 具体的には、一定の危険な違反行為をして2回以上摘発された自転車運転者に対して、公安委員会から、3ヵ月以内の指定された期間内に講習(自転車運転者講習)を受けてくださいという命令が下されることがあり、この命令に従わず、講習を受講しない場合には、5万円以下の罰金が科されることがあります。

 自転車運転者講習の受講命令の対象となる危険な違反行為は、以下の14類型とされています(法施行令41条の3)

① 信号無視(法第7条)
② 通行禁止違反(法第8条第1項)
③ 歩行者用道路における車両の義務違反(徐行違反)(法第9条)
④ 通行区分違反(法第17条第1項、第4項又は第6項)
⑤ 路側帯通行時の歩行者の通行妨害(法第17条の2第2項)
⑥ 遮断踏切立入り(法第33条第2項)
⑦ 交差点安全進行義務違反等(法第36条)
⑧ 交差点優先車妨害等(法第37条)
⑨ 環状交差点安全進行義務違反等(法第37条の2)
⑩ 指定場所一時不停止等(法第43条)
⑪ 歩道通行時の通行方法違反(法第63条の4第2項)
⑫ 制動装置(ブレーキ)不良自転車運転(法第63条の9第1項)
⑬ 酒酔い運転(法第65条第1項)
⑭ 安全運転義務違反(法第70条)

3 自転車の取り締まりの強化

 今回の改正の先立ち、警察庁は、「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」を発出し、自転車に関する総合対策を進めようとしていました。自転車は、法律上、「軽車両」に該当し(法2条1項11号)、「車両」(同項8号)として扱われており、車両の灯火(法52条)や酒気帯び運転等の禁止(法65条)など、四輪車や単車(自動二輪車、原動機付自転車)と同様の法的規制に服することなどを改めて周知しようとしたものと考えられます。平成26年中の自転車関連事故は10万件を超え、交通事故全体に占める割合も約2割を占めるなど、自転車関連事故は依然として多く、中には自転車が加害者となる事故も存在し、自転車の取り締まりの強化の背景には、世論的に厳罰化を求める声が大きくなってきたことも関係しているのではないかと思われます。

4 最後に

 自転車に乗られる方は、自身が車等と衝突して被害者になることもありますし、歩行者等と衝突して自身が加害者になるリスクもあります。
 自転車の安全運転のために、自転車に乗られる方はもちろん、車に乗られる方、歩行者の方も、自転車についての交通ルールを確認していただければと思います。