こんにちは。
 今日は、後遺障害が認められたにもかかわらず、逸失利益が認められる場合と認められない場合がある後遺障害についてお話ししたいと思います。

 交通事故のご相談いただいたとき、後遺症による逸失利益について、わかりやすいように、「労働能力の一部が失われたことに対する補償です」という趣旨の説明をすることがありますが、これは本当は正確ではありません。

 最高裁は、後遺症が残って、かつ、後遺症の為に事故前より収入が減少している場合に逸失利益を認めるという考え方(差額説)を原則としています。ただし、最近の交通事故裁判の実務では、労働能力が失われたことそのものを財産的損害としてとらえて(労働能力喪失説)逸失利益を認めていると言われています。

 最高裁の考え方(差額説)によれば、労働能力に影響を及ぼさないような後遺障害では、逸失利益は認められないということになり、保険会社も簡単には逸失利益を認めません。

 上記のような、労働能力に影響を及ぼさないから逸失利益は認められない、と保険会社に主張される後遺障害の例として、よく外貌醜状が挙げられます。ただ、ほかにもそのような後遺障害がありまして、たとえば、歯牙障害、脾臓摘出、嗅覚障害、鎖骨変形等があります。

 この点、裁判例を見ると、減収がないことを理由に逸失利益を否定しているものもありますが、被害者の性別、年齢、職業等の具体的な事情を考慮して、逸失利益を認めているものもあります。また、逸失利益として認めなかった場合でも、その点を斟酌して通常より高額の慰謝料を認める裁判例もあります。

 上記のような労働能力に影響を及ぼすか否かについて具体的な事情に照らして個別的な判断が必要な場合、交渉で解決することは難しく、また、交渉では十分な賠償がされないことも少なくありません。 そのような場合には、弁護士等の専門家に交渉を依頼すること、訴訟による損害賠償請求を検討することをおすすめします。