遺言執行者については、このブログの平成25年11月13日の記事でも説明していますが、今日は、遺言執行者がどういう仕事をするのかについて、具体的にお話ししたいと思います。少しでもイメージのようなものがつかめますと幸いです。

遺言執行者は、まず、遺言書の有効性を検討しなければなりません。検討すべき事項は、方式に違背していないか、遺言能力を欠く遺言でないか、遺言の内容が公序良俗に違反していないか等、多岐にわたります。

また、法律に規定があるわけではありませんが、相続人やその他の利害関係人に対し、遺言執行者となったことを通知することも大切です。遺言執行者になると、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有しますので(民法1012条1項)、相続人は、相続財産の処分や、遺言の執行を妨げるような行為をすることができなくなります(民法1013条)。

この点、遺言執行者は、相続人の代理人とされ(民法1015条)、遺言執行の状況及び結果について報告する義務を負いますので(民法1012条2項、同法645条)、予期せぬトラブルを防ぎ、遺言執行をスムーズに行うためにも、通知はきちんとしておきたいところです。

もちろん、通知を行うに先立って、相続人の調査もしなければなりません。そのため、被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍を調べる必要があります。

相続人の調査とともに、遺言執行者にとって、相続財産の調査・管理を行うことも極めて重要です。
不動産であれば、登記識別情報通知書を確認したり、実際にその不動産を見に行き、使用関係がどうなっているか等を確認する必要があります。
預貯金については、通帳や印鑑等の所在を確認し、保管する必要があります。また、金融機関に対し、遺言執行者の同意がなければ払い戻しができないよう通知をします。
株券等の有価証券については、銘柄や数量、金額等を把握し、関係書類を保管することになります。
貴金属についても、紛失しないよう保管する必要があります。
自動車については、そのままにしておくと、遺言執行者が自賠責法上の運行供用者責任を負う危険がありますので、鍵や車検証、ローン関係の書類等を保管し、使用できないようにすることが必要です。
このようにして相続財産の調査が済むと、遺言執行者は相続財産目録を作成し、これを相続人に交付しなければなりません(民法1011条1項)。

その後、遺言執行者は、遺言事項を執行することになります。
遺言事項の執行についても、色々注意すべき点がありますが、長くなりますので、また機会があれば書いてみたいと思います。

このように、肝心の遺言事項の執行に至るまでの過程だけを見ても、遺言執行者がなすべき仕事の量が膨大で、複雑であることがおわかりいただけると思います。
遺言執行者は、特別な知識がない人でもなることはでき、相続人の1人がなることも多いようです。
しかし、相続人の数が極めて少なく、相続財産もほとんどないようなケースを除けば、かなりの負担を強いられる仕事と言えますので、遺言執行者には、弁護士を選ぶことをお勧めします。