遺留分減殺請求はいつまで可能?

 民法1042条は、「減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする」と規定しております。

 具体的な遺留分減殺請求権の起算点について、最高裁判所判決昭和57年11月12日は、「贈与の事実及びこれが減殺できるものであることを知つた時と解すべきであるから、遺留分権利者が贈与の無効を信じて訴訟上抗争しているような場合は、贈与の事実を知つただけで直ちに減殺できる贈与があつたことまでを知つていたものと断定することはできないというべきである。」「しかしながら、民法が遺留分減殺請求権につき特別の短期消滅時効を規定した趣旨に鑑みれば、遺留分権利者が訴訟上無効の主張をしさえすれば、それが根拠のない言いがかりにすぎない場合であつても時効は進行を始めないとするのは相当でないから、被相続人の財産のほとんど全部が贈与されていて遺留分権利者が右事実を認識しているという場合においては、無効の主張について、一応、事実上及び法律上の根拠があつて、遺留分権利者が右無効を信じているため遺留分減殺請求権を行使しなかつたことがもつともと首肯しうる特段の事情が認められない限り、右贈与が減殺することのできるものであることを知つていたものと推認するのが相当というべきである。」と判断しております。
つまり、原則的には、贈与の事実及びこれが減殺できるものであることを知った時が起算点になります。

 なお、遺留分減殺請求権については、裁判外の行使も有効ですが、後に紛争になる可能性を考慮して、内容証明郵便で行使の意思表示をすることをおすすめいたします。

相続には時間的制約が多くある

 今回は、相続の開始からの大まかなタイムスケジュールと概要についてご説明させていただきました。

 上記の通り、相続開始後に期限が到来する手続きや遺産分割のプロパーの問題(遺言の有効性、遺産の評価方法、遺産の範囲、寄与分、特別受益等)もございます。相続については、複雑な法的論点や時間的制約があるため、弁護士に一度相談をしてみることで、解決の糸口を発見できるものと考えております。

 相続問題に関してお困りの際には、まずは、お気軽にご相談下さい。