本日は、寄与分についてお話します。

 寄与分とは、相続人の中で、被相続人(死亡した人)の財産を維持増加させることについて、特別に貢献した人が、本来もらえる相続分より多くの財産をもらえる制度です。民法904条の2に規定があります。

民法904条の2
 共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加につき特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第900条から第902条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。

 では、どのような場合に寄与分を取得することができるのでしょうか。

 寄与の具体例としては、高齢や病気になった被相続人の看護や身の回りの世話をしたり、被相続人が自営業を営んでいる場合にその仕事を協力して行った場合等が挙げられます。

 もっとも、何らかの被相続人への寄与行為があったとしても、それが「特別の寄与」と認められない限りは寄与分を取得することはできません。上記では、高齢病気になった被相続人の身の回りの世話という具体例を挙げましたが、裁判例等においては、高齢病気になった被相続人をただ世話しただけでは「特別の寄与」とは認定されず、それ以上の著しい程度の療養看護をする必要があると判示されております。
 なぜ、著しい程度の療養看護が求められるのかといえば、本来、扶養義務のある家族間においては、家族を世話するのは当たり前であると考えられるからです。

 著しい療養看護がなされた等の事情が認められ、特別の寄与が認定された裁判例を紹介いたします。

 申立人の妻は被相続人の入院中の看護や死亡直前半年間の介護をし、また、半年前以前についても13年間余りにわたって継続して介護しており、さらに、申立人は約15年にわたって給与を全額両親の家計に入れてその管理を被相続人またはその妻に任せて家計を援助していたという事案において、申立人の寄与分を400万円と認定した(東京高決平成22.9.13)。

 また、一部の家庭裁判所においては、被相続人の介護状態から介護報酬基準額を算出し、それに療養看護の日数をかけて、裁量割合をかけることにより寄与分の金額を調整するという運用もとられているようです。

 もしも、相続が発生して、自分が亡くなられた方のために、特別な貢献をしていると思われましたら寄与分を取得している可能性があります。寄与分の成立の可否や金額については、当事務所までご連絡ください。