父親が亡くなったのですが、遺産をどのように分けるのか兄弟で揉めています。その間の相続税は申告する必要があるのでしょうか。

 相続についてのご相談時を受けていると、遺産分割に関連して、このようなご質問を受けることがあります。

 結論としては、相続人が相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に、被相続人である父親の住所地を管轄する税務署長に申告書を提出しなければなりません。

 では、申告にあたっての相続税の課税価格をいくらで計算すべきでしょうか。

 相続税法55条は、

「相続若しくは包括遺贈により取得した財産に係る相続税について申告書を提出する場合又は当該財産に係る相続税について更正若しくは決定をする場合において、当該相続又は包括遺贈により取得した財産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によってまだ分割されていないときは、その分割されていない財産については、各共同相続人又は包括受遺者が民法 (第九百四条の二(寄与分)を除く。)の規定による相続分又は包括遺贈の割合に従って当該財産を取得したものとしてその課税価格を計算するものとする。ただし、その後において当該財産の分割があり、当該共同相続人又は包括受遺者が当該分割により取得した財産に係る課税価格が当該相続分又は包括遺贈の割合に従って計算された課税価格と異なることとなった場合においては、当該分割により取得した財産に係る課税価格を基礎として、納税義務者において申告書を提出し、若しくは第三十二条第一項に規定する更正の請求をし、又は税務署長において更正若しくは決定をすることを妨げない。」

と規定しており、簡単にいうと、遺産分割を終えるまでは、民法の相続分に従って課税価格を計算しなければならないということです。

 生命保険や退職金等のように、受取人の固有の財産として遺産に含まれないものがある場合など、みなし相続財産についても忘れずに加算して課税価格を計算してください(相続税法基本通達55-2)。

 もっとも、遺産分割未了の間の申告は、仮の計算による申告なので、申告した後に遺産分割がまとまれば、その結果に応じて、不足する場合には修正申告書を提出し、払い過ぎの場合には更生の請求をすることができます(相続税法30~32条)。