今回は、離婚する際に、しばしば問題になることとして、親権者の指定と絡んで、非監護親の面接交渉権について触れてみたいと思います。

 面接交渉権とは、本来は、離婚後に、親権者・監護者とならなかった親が、その子と面談、その他の手段を用いて連絡し合う権利をいいます。この権利は、親として有する固有権と考える立場が一般ですが、裏から見て、子が健全な発育上不可欠な親と接する権利と捉える立場もあります(大阪家審平成5年12月22日)。

 もっとも、離婚前であっても、別居している親同士では、面接交渉権が問題となりえますので、別居して子供と離れてしまった親にも、上記同様の権利が認められます。

 したがって、面接交渉権を主張して、単独で調停を申し立てることも、もちろん可能です(家事審判法9条1項乙類4号、民法766条1項、2項)。

 しかし、離婚を争って裁判で戦っているような場合、親権者が何れになるかわからない状況において、最悪、親権をとられても面接交渉権は有利な条件で確保しておきたいと思う人も多いでしょう。

 こんなときは、離婚訴訟に附帯する処分として、面接交渉権を申立てておけばよいのです(人事訴訟法32条1項)。かかる申立をしておくと、離婚本体が和解離婚で終了したり、裁判途中で協議離婚したような場合であっても、面接交渉に関し、合意が成立していない限り、その面接交渉権の審理のみ続行され、最終的に裁判で決めてもらえることになります(人事訴訟法36条)。

 また、附帯処分は、離婚との同時解決の必要性が高いことから、訴え提起後であっても、控訴審の口頭弁論終結時(審理が終わる時)まで、いつでも申し立てることができます(最判昭和58年3月10日)。

 そして、附帯処分について裁判するにあたり、審理の経過、証拠調べの結果、その他の事情を考慮して必要があると認められれば、家庭裁判所調査官に事実の調査をさせることができるとされています(人事訴訟法33条1項、人事訴訟規則20条)。なお、子が15歳以上であれば、家庭裁判所は、面接交渉に関する裁判をする際、子の陳述を聴かなければなりませんが、これに拘束されるわけではありません(人事訴訟法32条4項、家事審判規則54条)。

 次に、調停、審判、判決等で面接交渉に関して決定されたにも拘わらず、監護親がその決定事項を実現しない場合どうするかが問題となります。

 まず、家庭裁判所に、履行勧告をするよう申し立てることができます(家事審判法15条の5、25条の2)。しかし、この方法に強制力はないため、裁判所の勧告や命令を無視する強者に対しては実効性がありません。

 そこで、そういった場合、強制的に面接交渉を実現させるために、決められたとおり履行しないときには一定の賠償金を支払わせる間接強制を申し立てることが考えられます。もっとも、これでも、協力しない親であれば、やはり面接交渉は実現できなくなります。

 そうなれば、再度、調停申立により、根気強く、相手を応じさせるよう求めていくより他ありません。