婚姻費用・養育費については、いわゆる「算定表」によって、簡易迅速な計算が可能となっていますが、算定表の数値はある程度、幅のあるものになっているため、算定表によらずに、正確に算定する必要がある場合もあります。
そこで、今日は婚姻費用・養育費の計算式をご紹介いたします。
1 婚姻費用の計算方法
⑴ 義務者・権利者の総収入の認定
給与所得者の場合、源泉徴収票の「支払金額」を総収入として計算を行います。
他方、自営業者の場合、基本的には、確定申告書の「課税される所得金額」が総収入にあたるものとされていますが、婚姻費用等の算定上控除することが相当でない費目については、「課税される所得金額」に加算して総収入を認定する必要があります。
⑵ 基礎収入の認定
総収入をそのまま婚姻費用・養育費の計算に使うのではなく、総収入から公租公課、職業費及び特別経費を控除した「基礎収入」を使うものとされています。
基礎収入は、給与所得者の場合、総収入×0.34~0.42の範囲で、自営業者の場合、総収入×0.47~0.52の範囲で定められることが多いです(高額所得者の方が割合が小さくなります)。
⑶ 計算式
それでは、具体的な計算式をご紹介します。以下、義務者の基礎収入をX、権利者の基礎収入をYとします。
ア 権利者世帯に割り振られる婚姻費用
権利者世帯に割り振られる婚姻費用Z=(X+Y)×(権利者グループの生活費の指数)/(権利者グループの生活費の指数+義務者グループの生活費の指数)
※「生活費の指数」は、親が100、0歳~14歳までの子については55、15歳から19歳までの子については90として計算されています。
イ 義務者から権利者に支払われるべき婚姻費用の分担額(年額)
=Z-Y
これを12で割ると月額の婚姻費用分担額を算定することができます。
2 養育費の計算方法
養育費についても、婚姻費用の場合と同様に、まず、総収入・基礎収入の認定を行います。
⑴ 計算式
ア 子の生活費
=X×(子の生活費の指数)/(義務者の生活費の指数+子の生活費の指数)
イ 義務者の養育費分担額(年額)
=子の生活費×X/(X+Y)
これを12で割ると、月額の養育費分担額を算定することができます。
このように、婚姻費用・養育費はある程度、正確な額を算定することが可能ですので、参考にしていただければと思います。なお、上記はあくまで、一つの計算方法であって、事案に応じて柔軟な対応を行う必要がある場合もございます。
婚姻費用・養育費についてお困りの方は、是非一度弁護士にご相談ください。