今回は、離婚に際して問題となる財産分与に関するもののうち、財産分与の割合について説明したいと思います。

 分与対象財産が確定すると、次に、当該財産の何割を夫、何割を妻というように取り決めることになります。

 財産分与の割合は、通常は2分の1ずつというのが実務の大方の傾向です。これは、例えば妻が専業主婦の場合だろうが、共働きの場合であろうが同じです。

 ただ、例外もあります。その一つに、一方配偶者の特別な資格・技能等が財産形成に大きな役割を果たしている場合があります。少し古い裁判例ですが、次のような判示をしております。

「一審被告が前示の如き多額の資産を有するに至ったのは、一審原告の協力もさることながら、一審被告の医師ないし病院経営者としての手腕、能力に負うところが大きいものと認められるうえ、一審原告の別居後に取得された財産もかなりの額にのぼっているのであるから、これらの点を考慮すると財産分与の額の決定につき一審被告の財産の二分の一を基準とすることは妥当性を欠くものといわざるを得ず・・・」(福岡高判昭44.12.24判時595.69)

 このように、例外的に2分の1ルールが適用されない場合もあるのです。
 しかしながら、このような裁判例は稀であり、最近ではあまり多くは見られなくなっています。

 次に、よく受ける質問としては、有責配偶者に対して財産を分与する必要はあるの?というものですが、基本的に有責性は財産分与の割合には影響しません。

 なぜなら、財産分与は、婚姻中に夫婦で協力して築いた財産を公平に分配するものであり、例えば、一方配偶者が不貞行為をしたからといって、財産形成に対する寄与度・貢献度がなくなってしまうわけではないからです。

 婚姻破綻につき有責性が認められる一方配偶者に対しては、基本的には慰謝料請求という形で責任を追及すべきでしょう。

弁護士 吉田公紀