こんにちは。暑い日が続きますね。
 本日は、調停の進め方についてお話しします。

 離婚の仕方には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚があります。通常、最初は、夫婦間で話し合いをするところから始まります。ここで離婚が成立すれば、「協議離婚」の成立となります。

 協議で離婚の話がまとまらなければ、そのまま離婚しないで婚姻関係を継続するか、調停に持ち込むかのいずれかになります。

 調停というのは、裁判所において、2名(男女各1名)の調停委員を介して、夫婦間で話し合いをする方法です。調停委員というのは、裁判所の元書記官など世間でいう有識者がなります。調停委員の役割は、当事者双方の話し合いの調整役であって、例えば、不貞行為があったかなかったかなどの事実認定をするわけではありません。

 そうすると、「調停も結局話し合いなの?それじゃあ、協議離婚の場合と大して変わらないんじゃない?」と思われるかもしれません。

 たしかに、うまくやらないと、協議離婚とさして変わらないということになってしまいます。

 そこで、調停を賢く使うには、どうしたらいいのか?ということですが、先ほど触れた「調停委員は事実認定をする人ではない」という点に着目してみましょう。

 調停において、例えば、夫が不貞したから、妻が夫に対して慰謝料を請求したい、というケースがあるとします。

 この場合、不貞行為の有無について、100%、調停委員に認めてもらわなくてもよいのです。要は、慰謝料を支払うか否か、そしてその額はいくらにすべきか、について、夫との間で合意が成立すれば、それでいいのです。この場合、夫が不貞行為についてほぼ認めているなら、金額だけ折り合いを付ければよく、夫が不貞行為について認めていなければ、ある程度の証拠を調停委員に見せればよいです。

 場合によっては、調停委員を介して夫に証拠を見せてもよいです。ただ、この間、調停委員は、いつ、どこで、どのような不貞行為をしたか、などの事実を認定するわけではありません。「一応、証拠はあるみたいだし、もし、訴訟になったら、200~300万円の慰謝料が認められるかもしれませんよ。訴訟になったら、時間もかかるし、弁護士に依頼するとなったら、弁護士費用もかかりますよ。」といったメッセージを、調停委員から夫に対し、それとなく伝えてもらうようにしましょう。

 この場合夫から、「でも、支払えるだけのお金がない。」という反論が出されることがあります。それなら、夫に、収入や預金の証拠を出してもらいましょう。

 そして、重要なのは、引き際です。あまり慰謝料額を上げようとしても、夫の資力にも限界があります。不貞行為は許し難い行為ですが、そこにこだわるよりも、離婚を成立させて、新しい人生を始める方がよいとも考えられます。

 調停の流れにおいては、金銭で解決できるものは、金額の調整をすることに重点を置きましょう。調停委員に、それまでの夫婦の関係について事実認定をしてもらおうとしても、時間がかかるだけ、ということもあります。ストレートに、「必要な金額は、これくらい。分割払いにするなら、いくらぐらいずつ。」という話に持ち込んで、早期解決をはかりましょう。もちろん、相場は事前に調べておいてくださいね。法外な要求をすると、調停委員に偏見を持たれてしまいますから。