離婚事件においては、調停前置主義が広く採用されています。例外的な場合を除き、裁判所を通じて離婚を求める場合には調停の手続きを経なければなりません。

 さて、これらの場合に調停を申立てることのできる裁判所ですが、基本的には相手方の住所地を管轄する裁判所となります。また、調停は、自身で行う場合は勿論、代理人を立てた場合でも本人出頭が求められます。

 そのため、両者が近所に暮らしている場合はともかく、遠くに離れて暮らしている時には申立てた側の裁判所まで行く負担が重くなる可能性があります。この対策にはどうすればいいのでしょうか。

 管轄そのものを別の裁判所にする方法は、二つ考えられます。

 一つ目は、相手方住所地の他に双方が合意で定める裁判所にも管轄が認められることを利用することです。この場合には、相手方の同意が得られるかが問題となります。離婚紛争の早期解決の共通認識を相手方との間でも作っておき、双方の住所地の中間くらいの場所で裁判所を決めるなど、工夫が必要になるでしょう。

 もう一つは、法定の管轄外の裁判所への申し立てが可能となる、自庁処理の方法によることを裁判所に認めてもらうことです。自庁処理とするかは各家裁の裁量によりますが、病気で遠出ができない、小さな子供の面倒を見ているなどといった事情があれば、とりあえず申立てておくのがよいでしょう。

 遠方の家庭裁判所に出向くこととなれば、出頭の負担を最小限度にすることを考えなければなりません。これは、つまり、調停に無駄を作らないということです。前もってきちんとこちらの要求を整理し、調停がなかなか進まないようであるなら早期に不成立とする決断も必要です。

 このことは、特に代理人を立てる場合に重要です。代理人を立てると、代理人分の日当や交通費の負担も生じますから。