1 はじめに

 今回は、調停が不成立で終了する場合についてお話ししたいと思います。

 離婚調停をしたことがある方は、調停がいつ終わるかがよくわからないという方も多いのではないでしょうか。この点、離婚調停が不成立により終了する場合については、家事審判規則に規定があります。

 離婚調停が不成立により終了する場合とは、当事者間に合意が成立する見込みがない場合、または成立した合意が相当でないと認める場合において、家庭裁判所が調停に代わる審判をしないときは、調停が成立しないものとして、事件を終了させることができると規定されています。合意に相当する審判の事件の調停につき、当事者間に合意が成立した場合において、家庭裁判所がその審判をしないときも、同様です(家事審判規則138条の2)。

2 当事者間に合意が成立する見込みがない場合

 これは、調停期日を重ねても平行線のままというような場合です。この場合、調停を続ける意味がないため、打ち切るしかありません。ただ、これは、当事者の一方が「こちらは合意するつもりはない。」と意思表示したから認められるかというと、そうではありません。合意が成立する見込みがあるかどうかは、あくまで調停機関の判断ですので、調停機関がもう少し様子を見て合意が成立するかもしれないと判断すれば、調停が続行されることになります。

3 成立した合意が相当でないと認める場合

 調停の成立の要件としては、①当事者間に合意が成立し、②調停機関がその合意が相当であると認めて、合意の内容を調書に記載すること、という2つがそろわなければいけません。つまり、その裏返しとして、成立した合意が相当でない場合は、調停は不成立となってしまうのです。

4 不成立後の手続き

 調停機関が調停不成立とした場合、調停手続きは終了し、裁判所書記官が調書にその旨を記載したうえで、当事者にその旨が通知されます。通常は、当事者双方が出頭していることが多いですので、口頭で通知されます。

 なお、調停不成立の措置に対しては、不服申立てはできません。

5 婚姻費用分担事件について

 夫婦関係調整調停と共に、婚姻費用分担調停が申し立てられている場合に、共に不成立となった場合、後者は当然に審判手続きに移行します(家事審判法26条1項)。この場合には、別途申立てをするなどの必要はなく、自動的に審判に移行することになります。