こんにちは。寒い日が続きますね。
本日は、裁判所で離婚に関する手続をとる場合、どこに申し立てたらよいか、という問題についてお話しします。
まず、離婚の申立ですが、離婚の調停を申し立てる場合は、基本的に、相手方の住所地を管轄する裁判所に申し立てることになります。これに対し、離婚の訴訟は、当事者のどちらかの住所地を管轄する裁判所に申し立てることができます。したがって、調停は相手方の住所地を管轄する裁判所で、訴訟は申立人の住所地を管轄する裁判所で行う、という場合もありえます。ただし、離婚の訴訟については、調停をしていた裁判所において処理して欲しいという要求が当事者のどちらかから出た場合などには、調停と同じ裁判所で手続を進めることもあります。
婚姻費用の調停や審判については、基本的に相手方の住所地を管轄する裁判所に申し立てることになります。
監護者の指定や面会交流に関する調停や審判については、基本的に子どもの住所地を管轄する裁判所に申し立てることになります。
このように、手続ごとに、どこの裁判所に申し立てるかが決まっています。
もし、誤った管轄の裁判所に申し立ててしまった場合は、正しい管轄の裁判所に事件が移される(「移送」といいます。)ことになります。この移送には、1週間程度の時間がかかりますので、1日でも早く婚姻費用の手続や監護者の指定の手続を始めたい人にとっては、本当に落ち着かない1週間となってしまいます。
また、手続ごとに裁判所の管轄が異なっているため、複数の手続を同時並行させる場合には、各手続が全くばらばらの裁判所に係属する可能性があります。例えば、子どもが妻によって沖縄に連れて行かれている状態で、東京にいる夫が妻に対して子どもの引渡し等請求の手続を申し立てるとすれば、沖縄に申し立てる事になります。
他方、妻が夫に対して離婚調停を申し立てるとすれば、東京に申し立てることになります。一つの裁判所にすべての管轄がある場合は、すべての申立が調停であれば、一つの調停手続の中で一括して進めることができますが、各手続がばらばらの裁判所に係属しているとなると、全く別々に手続が進んでいくことになります。互いに独立して解決できる問題とはいえ、当事者の心裡としては、どれも離婚に関係するものとしてひとくくりに感じられることが多いですから、複数の裁判所に手続が係属することは避けたいことが多いです。
ただ、裁判所の裁量で、一つの裁判所で一括して手続を進められるようにしてもらえることもあります。
どこの裁判所に係属するかは、手続を進める上で、当事者の心理に影響してきます。調停の期日のたびに遠方まで行かなければならない当事者としては、交通費や時間などの問題を考慮して、適当なところで早期解決してしまいたいという気持ちになりがちです。これに対し、反対側の当事者は、このような心裡をうまく利用して、調停を進めて行くという手もあります。