今日のお題はさすがに「親権獲得講座」ではまずいので(笑)、このようなタイトルになりました。
本題に入る前に、前回のブログの後日談です。転送届の23条照会ですが、依頼者の方に了解を得てやってみましたがダメでした。高裁判決をもらった程度では気にしないらしいです。困ったもんだ。
ところで、あなたの結婚相手に連れ子がいた場合、別にその連れ子と養子縁組する必要はないのですが、することも多いですよね。通常、15歳未満の子どもを養子にする場合には、①法定代理人の承諾と、②家庭裁判所の許可が必要になるのですが、結婚相手の連れ子をあなたの養子にする場合には、①だけでOKとなります(民法798条但書)。あとは養子縁組の届けを役所に出せばいいのですから、案外簡単なものです。
ところが! 離婚に伴って連れ子を離縁する場合には少々ややこしいことになります。ま、そもそも離婚がややこしいことだからしょうがないですね。
離縁は離婚と制度がよく似ていて、協議離縁・調停離縁・審判離縁・裁判離縁と種類があります。協議離縁とは、文字通り当事者間の協議で離縁することです。もっとも、養子が15歳未満の場合には、離縁後に法定代理人となるべき者と協議することになります。要するに、あなたの配偶者と協議することになります。
調停離縁、これは家裁に離縁の調停を申し立てて、調停内で離縁を決めるものです。養子が15歳未満のときには、やはり配偶者が調停に出席します。
その調停がまとまらないとき、家裁が相当と認めれば審判に移行して離縁となることがあります。これが審判離縁です。離婚と違って審判で離縁できることもあるということです。
最後に、調停でまとまらなかった場合には、裁判で離縁を請求して判決で離縁することができます。これを裁判離縁といいます。協議や調停の場合と同様、連れ子が15歳未満のときにはあなたが配偶者を被告にして訴訟提起することになります。また、離縁も離婚同様調停前置主義なので、いきなり訴訟はできず、まずは調停から、ということになります。
と、簡単に書きましたが、あなたの配偶者が離婚や離縁を争わないような場合にはそれほど大変な話にはなりません。私なんか連れ子が15歳未満のときは、とりあえず離婚調停を申し立てて、ついでにその中で離縁の話をするようにしています。離婚調停とは別に離縁調停なんか申立てなくても、離婚調停の中で話し合いをして、協議離縁にしてもらえたら同じ事ですからね。余分な印紙代を使わなくていいわけです。
もっとも、あなたの配偶者が真剣に離縁の点を争ってきた場合には・・・かなり大変なことになるのではないかなあと思います。そもそも、あなたの配偶者が連れ子との離縁を拒む理由って何でしょう。そう! 養育費ですよね。養育費、だいじですよ。よく、依頼者の方(男女問わず)に調停期日後に、「世の中、なんだかんだ言ってもお金だよね。」とドライな発言をされることがあります。ちなみに、「男は金、女は顔」と言い切ったのは依頼者さんではなく、私のロースクールの同級生、「世の中ね、顔かお金かなのよ」は回文(上から読んでも下から読んでも同じ文章。試してみよう!)です。
話がもっと脱線しますが、昔、「すごいなあ」と思ったのは、前夫からきっちり養育費をもらうために公正証書で養育費の取り決めをした上、その養育費に連帯保証人(元夫の父親です)をつけ、再婚後は子どもを現夫と養子縁組させないで、あくまでも元夫から養育費を回収する、という女性でした。ここまで自分でできれば天晴れです。
てなことを女性は連れ子の場合にもやろうとしかねないわけで。じゃあ、離縁の請求はどこまで通るものなのか、逆の立場からすると相手方からの離縁の請求はどこまでディフェンスできるものなのか。次回検討してみましょう。
弁護士 太田香清