養育費・婚姻費用で損をしないためには?

(1)算定表は法律ではない

 ここまで算定表が実務において重要な指標になっていること、算定表にも例外があることを述べてきました。
 ここで重要なポイントは、算定表とは、あくまで指標にすぎず、法律のように当事者を法的に拘束するものではないということです。

 確かに、算定表は、裁判所も参考にしている点で非常に影響力の強い指標であることは間違いありません。
 しかし、当事者を法的に拘束するものではない以上、養育費・婚姻費用の金額を取り決める場合に考慮するべき個別事情があれば、当該事情を考慮して適切な金額を定めておかないと算定表に従って画一的な決定をしたことが事後的にトラブルを招くことにもなりえます。

(2)適切な養育費・婚姻費用の計算のためには?

 養育費と婚姻費用の適切な金額を計算するためには、算定表に基づく計算を基本として、主張するべき個別事情をしっかりと主張することが重要となります。
 例えば、婚姻費用の金額で法律相談に来られる方の中には算定表を知らないまま相場より高額な婚姻費用を支払い続けている方や算定表より低い金額での合意が相当な事案で算定表通りに支払いをしている方がいます。

 養育費・婚姻費用を適切な金額で合意することは、離婚に向けた話し合いの最中や離婚後において金額を巡るトラブルが発生することを防止するためにも重要となるのです。
 養育費・婚姻費用について、算定表より増額できるのか、あるいは減額できるのかは夫婦それぞれの個別事情を踏まえた判断が必要となることから、養育費・婚姻費用に悩まれる方はまずは一度専門家である弁護士にご相談されることとお勧めします。