- A.
- 趣味への浪費を理由に離婚することは難しいでしょう。単に浪費癖があるだけでなく、そのような浪費癖によって家計を破綻させるような借金を作ったような場合に、婚姻関係が破綻しているとして離婚が認められるでしょう。
そのため、まずは離婚しない方向で、夫婦間でしっかり話し合って取決めを作る等、夫の浪費癖を直す努力をすることが大事です。
もっとも、話し合っても夫の浪費癖が治らなかった場合には、将来の離婚を見据えて別居するとともに夫に対して婚姻費用の分担請求をすることが考えられます。
浪費によって家計を破綻させるような借金を作ったという点が重要
趣味への浪費を理由として離婚を主張していく場合には、民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に当たることを主張していかなければなりません。
裁判例によると、浪費によって借金を重ねて生活費にまで手をつけていたような事案において、婚姻関係が破綻していると認められた事例があります。つまり、単なる浪費のみならず、浪費によって家計を破綻させるような借金を作ったという点が重要です。
本件では、夫は、妻に対して生活費を渡しており、家計を破綻させるような借金を作っているわけではないので、婚姻関係が破綻していると考えることは難しいでしょう。
妻によると、夫に浪費癖を治してほしい旨の話をすると夫は不機嫌になるので話し合える状況ではないとのことですが、このままの状況が続けば、夫の浪費癖は治らないでしょうし、離婚まで考えているのであれば、妻も覚悟を決めて夫婦間でしっかり話し合うことが良いでしょう。
話し合いの結果、夫が趣味に使用できる金額の上限を設定する等の決まり事を作ることができればよいですし、仮に話し合いの最中に夫が妻に対して暴力を振るったとすれば、浪費癖とあわせて婚姻関係が破綻したものとして離婚事由に当たると判断されることもあるでしょう。
裁判例では、浪費に加えて暴力を振るったという事案において婚姻関係が破綻していると認められた事例があります。他方、話し合いが平行線に終わり、これ以上話し合っても仕方がない状況に至れば、将来の離婚に向けて別居を開始する方法が良いでしょう。夫婦が長期間別居している場合、婚姻関係が破綻していると認められることがあります。どのくらいの期間の別居が必要かは同居期間や別居期間中の夫婦の関係等の様々な事情を考慮して個別具体的に判断される難しい問題ですので、是非弁護士にご相談ください。
ただ、妻に収入が無い場合、経済的に不安で別居できないという状況に陥ってしまいます。この場合、妻は夫に対して生活費の支払いを求めることができ、これを婚姻費用分担請求といいますので、これに関しても是非弁護士にご相談ください。