1.対象財産確定の基準時

 離婚に伴い、夫婦の共有財産を清算することがあります(清算的財産分与)。

⑴ 始期

 財産分与は婚姻中の財産を清算するものですから、婚姻後に取得した財産が対象となります。
 たまに、財産が多数あり、特有財産(婚姻前に取得した財産)と婚姻後に取得した財産を区別しにくいことがあります。
 この場合は、徳湯財産を主張したい側が、預貯金の通帳や取引履歴を提出し、特有財産と婚姻後に取得した財産を区別するための立証をしなければなりません。

⑵ 終期

 清算的財産分与の対象となる財産を確定する時期は、原則として別居時として、例外的に、その後の財産変動を考慮して妥当な解決が図られることがあります。
 その理由は、清算的財産分与は、夫婦が婚姻生活中に形成した財産を分けるものですが、別居後は、通常、夫婦が協力して財産を形成する状況にはないからです。
 そのため、財産分与の財産を確定するために、まず別居時の財産を確定します。
 もちろん、別居せずに離婚した場合、基準時は離婚時となります。

2.財産評価の基準時

 個々の財産の価格を評価する時期は、裁判時、と言われています。有価証券、土地など、夫婦の協力とは無関係に価格が変動するものは、裁判時が基準とされます。

弁護士 江森 瑠美