裁判で離婚する場合、法律に定められた離婚原因が認められる必要があります。例えば、「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)つまり婚姻関係破綻の事実が認められる必要があります。

 しかし、裁判所は、不倫した夫(妻)から離婚請求する場合、婚姻関係が破綻していたとしても、破綻について責任のある夫(妻)からの離婚請求は信義誠実の原則に反し、認めないという立場です。

 ただし、全く許されないという立場でもなく、以下の要素を総合考慮して、離婚を認容することがあります。

相当長期間の別居

 「婚姻関係の破綻」で求められる別居期間よりは相当の長期間の別居という意味です。中には10年,20年と書いている文献もありますが、7,8年の場合もあれば、認められることが多い、という印象を持っています。

夫婦間に未成熟の子がいないこと

 一般的、成人に達していない子のことですが、高校生でも認容されることがあります。

不貞された妻(夫)が離婚によって精神的、社会的、経済的に過酷な状態に置かれるといった事情のないこと

 双方当事者の職業、収入、生活状況、婚姻費用を払ってきた実績、離婚給付の額を考慮します。

 このように、裁判所は、有責配偶者からの離婚請求に対し厳しい態度をとっています。不倫したけど離婚を検討している方、不倫された上に離婚請求されている方、どちらの立場においても、実際にお話をお聞きして個別具体的に解決策を考えたいと思いますので、お気軽にご相談ください。

弁護士 江森 瑠美