こんにちは。未だ離婚はしていないけど、「もう一緒にはいられない。でも家を出て別居となると、家賃をどうしよう?子どもも含む生活費はどうしよう?」と悩まれている人いませんか?
 こんな場合、相手の方に婚姻費用の分担を考えてみてほしいので、今日は「婚姻費用」のお話をします。

 「婚姻費用」というのは、夫婦間で分担する生活費のことと説明されます。夫婦、親族間には自分だけでは生活できない人を援助する義務(扶養義務)があるのですが、夫婦間、親から未成熟の子に対するこの義務は「生活保持義務」と呼ばれます。簡単に言いますと、相手に自分と同じ生活レベルを維持する義務です。そして、婚姻費用の分担請求する側を権利者、請求される側を義務者といいます。

 そこで、夫婦・親子が別居となったとき、この義務に基づいて誰から誰にいつからいつまでいくらが生活費として支払われる必要があるのかが問題となります。

 ‘誰から誰にいつからいつまで’という点については、義務者から権利者へ別居時から別居解消時または離婚成立の日までとなります。

 ‘いくら’の点について家庭裁判所では、標準的なケースにおける別居での婚姻費用が一目で基準額がわかるように「算定方式」というものを採用しています。

 しかし、夫婦の双方がお子さんを監護している場合や、お子さんが私立学校に通っているというような標準的ではないケースでは、単純に「算定法式」に当てはめて計算するわけにはいきません。

 例えば、小学生のお子さん1人とご夫婦3人で一緒に住んでいた持ち家を、ご主人が出て行かれ別居になってさいまったとしましょう。(住宅ローン毎月10万円の支払いがあるとします。)

 奥さんの年収が100万円ご主人のそれが700万円とすると、ご主人が義務者として奥さんに婚姻費用を支払うことになるのですが、「算定方式」で計算すると、婚姻費用として6~8万円を支払うこととなります。そうするとご主人は、住宅ローン10万円、婚姻費用6~8万円合計16万円から18万円を奥さんと子供らに支払うべきなのでしょうか?

 「算定方式」の計算には、権利者らの標準的な住居費も含まれていると考えられています。つまり、本来権利者らは義務者から支払われる婚姻費用の中から住居費(家賃等)を賄う必要があると考えられているのです。
 それにもかかわらず、このケースの場合に「算定方式」に従って単純に婚姻費用の分担の額が決まってしまうと、ご主人は自分が住んでいない住宅ローン10万円を、奥さんと子供らが住むために支払った上で、婚姻費用6~8万円をも負担することになってしまいます。
 他方奥さんのほうは、標準的な住居費を含んだ婚姻費用をもらいながら、家賃を払わずしてご主人が住宅ローンを負担する住居に住めることになり、義務者と権利者との間に不均衡が生じてしまいます。

 そこで、このような不均衡を是正するために、「算定方式」を修正して婚姻費用の分担額を決めていく必要があるのです。

 修正の方法は様々議論されていますので、このような場合でお悩みの方がいらっしゃればぜひ専門家にご相談されることをお勧めします。