急に寒くなってきましたね。風邪をひきやすい季節になってきましたので、お体には気を付けてください。
 さて、今回は、離婚調停、離婚訴訟の管轄(申し立てる場所)についてご説明します。

 当事者の話し合いで円満に離婚できるのであれば、それほど良いことはありません(協議離婚)。協議離婚ができない場合は、まず、離婚調停を提起しなければなりません。いきなり離婚訴訟を提起することは、原則として、出来ません。

 離婚調停は、家庭裁判所に申し立てます。問題は、どこの家庭裁判所に申し立てるかです。

 家庭裁判所は、どこにでもあるものではありません。東京では、東京本庁(霞が関)か、立川支部しかありません。なお、八丈島と伊豆大島の出張所にも申立することができます。

 離婚調停をどこで申し立てるかは、家事審判規則129条に、「調停事件は、相手方の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄とする。」とあります。ですから、相手方の住んでいるところか、お互いに合意で決めた場所を管轄する裁判所に申し立てることになります。

 ただし、これには例外があります。家事審判規則4条但書に、「事件を処理するために特に必要があると認めるときは、これを他の家庭裁判所に移送し、又は自ら処理することができる。」とあります。これを「自庁処理」などと呼んでいます。

 どういう手続かを、簡単に説明しますと、例えば、相手が別居して遠くの地に行ってしまった場合、相手の地に行くことが困難になることがあります。特に、お子さんを育てているなどの状況があり、お子さんのことを考えると、相手の地に行くことが難しいという場合には、ご自身の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立て、その家庭裁判所でやってもらうという方法はあります。

 しかし、相手の勤務地が管轄内にあり、相手の出頭が見込める場合などにしか例外を認めていないようですので、ご注意ください。自庁処理の申立てをやってみるだけは、タダですから、やるだけやってみたら良いと思います。ただし、その家庭裁判所でやってもらいたい事情を、審判官(裁判官のこと)を説得できるように具体的に書いてください。

 離婚裁判の管轄は、離婚調停と異なります。離婚裁判の管轄は、人事訴訟法に定められています。

 まず、人事訴訟法4条で、当事者の住所地又は当事者の死亡時の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てができます。離婚調停の場合、原則として、相手方住所地でしかできませんが、離婚訴訟の場合は、「当事者」とありますので、こちら側の住所地にも申立てをすることができます。

 また、人事訴訟法6条で、当事者の意見その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときには、離婚調停を行なった家庭裁判所と同じ家庭裁判所に申立てをすることもできます。

 ですから、離婚裁判は、安心して自分の住所地に提起すればよいと思います(なお、これ以外の場所の家庭裁判所が管轄になることもあります。)。

 なお、離婚裁判は、特に、専門的になりますので、専門家にご相談されると良いと思われます。

弁護士 松木隆佳