保証は、あくまで債務者本人が債務を弁済できない場合の担保であるため、保証の責任を果たすためには「債務者本人では債務を弁済できない」状態であることが求められます。そのため、通常、保証人には、債権者からの「保証人としての責任を果たせ。」という請求に対し、催告の抗弁(民法452条 まずは債務者本人に請求をしろという反論)、検索の抗弁(民法453条 債務者本人に資力があるときは、先にそちらから回収しろという反論)を行う権利が認められています。

ところが、世の中によくある「連帯保証」という保証形態の場合、この催告・検索の抗弁権が認められないこととなります(民法454条)。債務者本人が、契約通りの債務の履行を行なえなかった場合、債権者は、連帯保証人に対しては、いきなり「責任を果たせ。」と請求することができることになります。
諸々の手間をすっ飛ばすことができるため、保証人が連帯保証人であることは、債権者からすると便利のいいものといえます。

その他、連帯保証人の場合には、「分別の利益」というものが認められないと解されています。分別の利益とは、保証人が複数いる場合、債権者が保証人の一人に請求をしても、請求を受けた一人の保証人は、債権額を保証人の頭数で除した分しか責任を負わないというものです(民法456条)。この利益については、元々特約での排除が可能なのですが、連帯保証の場合には当然に否定されることになります。そのため、保証人が他にいたとしても、債権者から自分一人に請求が来た場合は、全額につき保証の責任を果たさなければなりません。

おそらく、上記の催告・検索の抗弁権の排除より、こちらの方が保証人にとっては厄介なのではないかと思われます。

このように、連帯保証人は、通常の保証人に比べて責任が強化されているので、そこには注意しなければなりません。しかし、連帯保証人となるのに特別な様式が必要なわけではなく、保証契約書上で「連帯保証人」と記載されていれば、それで足ります。判をつく前に、そのような記載となっていないかよく見るべきでしょう。

もう一点注意が必要なのは、保証対象の債務が商行為によるものである場合、それに対する保証は常に連帯保証となることです(商法511条2項)。知人が事業を行なうための融資につき保証人となった場合などは、保証契約書に「連帯」の文字がなくとも連帯保証人となってしまうので、気を付けましょう。