こんにちは。暖かくなって春らしくなってきましたね。
本日は、成年後見制度についてのお話しをします。
成年後見制度というのは、精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な成年を保護する制度です。すなわち、病気や老化などにより判断能力が衰えた人が契約などの法律行為をしようとしても、事実や手続きを理解できないために法律行為をスムーズに行うことができないことがあります。そこで成年後見制度を使って、判断能力が衰えた人でも、法律行為をスムーズに行い、不利益を被らないようにするのです。
法律上定められている成年後見は、事理弁識能力(財産の管理や処分について物事を理解し判断する能力)の程度によって、後見、保佐、補助の3つに分けられています。「後見」は、常に事理弁識能力が欠けている人を対象とする制度です。「保佐」は事理弁識能力が著しく不十分な人を対象とする制度です。「補助」は事理弁識能力は不十分であるけれど「後見」や「保佐」には至らない程度である人を対象とする制度です。
「後見」制度を使う場合、対象者に「成年後見人」がつきます。成年後見人には、本人(後見人が付けられる人)のための財産管理権と代理権、本人が行った行為についての取消権と追認権があります。
「保佐」制度を使う場合、対象者に「保佐人」がつきます。保佐人には、法律上定められた重要な行為についての同意権、同意を得ずに行った行為についての取消権があります。また、家庭裁判所に申し立てれば、特定の法律行為について代理権を付与してもらうこともできます。
「補助」制度を使う場合、対象者に「補助人」がつきます。補助人には、家庭裁判所に申し立てれば、特定の法律行為について代理権、同意権、取消権を付与することができます。
このように成年後見制度は分けられており、個々のケースをみてどの制度を使うのが適切かについては、慎重に判断しなければなりません。病気などをきっかけとして事理弁識能力が減退し、成年後見制度を使う必要性を感じることはあるかもしれませんが、病気も一進一退だったりしますので、どの制度を使うことができるのか、見極めが難しい場合もあります。判断能力を簡易に判定する基準がありますので、基本的には、そのような基準を使いながら、医師の診断に従うことになります。
弁護士は、依頼された訴訟等の法律手続きを行う前提として、成年後見の申立てをすることもありますが、成年後見単独で依頼を受ける場合もあります。「成年後見人をつけておけばよかったのに」というふうになることもあるようですので、問題が生じる前の早めの対処がよさそうです。