みなさま、こんにちは。最近はゲリラ豪雨に遭ったり猛暑だったりと、お天気にはまいってしまいます。でも、雨上りの夜は涼しくてさわやかなこともありますね。
 さて、本日は、保全手続きをする際の担保金にまつわるお話をしようと思います。

1.保全手続きって?

 例えば相手方に貸金返還請求の訴訟をする場合を考えてください。訴訟手続きというのはある程度(半年から1年程度)、時間がかかります。そうすると、判決が出るまでの間に、相手方が財産を使い果たしてしまったりして、判決で「貸金1000万円返還せよ」と認められた場合に、相手方が出せるお金がもうなくなっている、というリスクを抱えることになります。そこで、「保全」という種類の手続きをして、将来きちんと損害賠償を回収するための準備をすることになります。例えば、預金の仮差押えなどです。

2.担保は何のために必要か

 保全手続きは、当然、訴訟により判決が出る前になされますから、もしかしたら敗訴する可能性も秘めていることになります。そうすると、保全処分を受けた相手方としては、その財産を使うことができなくなりますから、もしかしたらその人の経済活動が阻害されてしまうかもしれません。相手方が事業をしている場合(自営業者や法人)なんかは特にその可能性がわかりやすいですね。

 そこで、保全を申し立てる側は、「担保」を納める必要があります。つまり、担保を納め、申し立てた側が訴訟で敗訴した場合(相手方側が勝訴した場合)、相手方が保全によってその財産を使えなかったことにより受けた損害を、賠償してもらうアテにするのです。

3.担保を考慮して手段を考える

 担保の金額は、裁判所によって決められます。金額の算定は確定的なものがあるわけでなく、保全の種類や相手方の特性などを総合的に考慮して判断されます。請求金額の1~3割程度になることが多いようです。
 したがって、保全をする際には、それだけの資金を準備できるかどうかを考える必要があります。

 また、実際訴訟をして、担保を取り戻すことができるのは、基本的には勝訴してからです。そうすると、場合によっては最高裁まで争われて、数年間、その担保相当の金銭を使うことはできないということになります。
 そして勝訴が確定したらその直後に担保金を取り戻せるわけではなく、取り戻す手続きに1ヶ月くらいかかります。

 勝訴できるかどうかだけでなく、このような資金的余裕、時間的見通しも考慮して、保全手続きをとるかどうか、担保金額を下げるために一部請求にするか、はたまた訴訟ではなく話し合いである程度のところでおさめるべきか、などの手段選択をした方がよいでしょうね。