みなさま、こんにちは。暑くなってきましたね。
 さて、本日は、遅延損害金にかかわるあれこれについてお話ししようと思います。

 「遅延損害金」というのは、支払いの期限にきちんと支払わなかったときに、遅れたことによって発生するであろう損害を填補するためのお金のことです。遅れたことによってすぐに「損した」ということが明らかになることはあまりないかもしれませんが、法律上、年5%(民事法定利率)、とか年6%(商事法定利率)などと、一般論として定められています。

 遅れに遅れると、遅延損害金がかさんでしまうこともあり得ます。100万円支払わなければならないときに1年遅れると民事法定利率の場合は5万円の遅延損害金が発生します。そこでたまに、法律相談の際に、「やっと返済できる状態になったので返済したいが、遅延損害金がかさむので、まずは元本の方を返したい。」という話をされることがあります。しかし、法律上、元本と遅延損害金が存在する場合の支払いの充当の順序は、【利息(遅延損害金も含む)→元本】と定められているので、当然には「元本をまず減らしてから」というわけにはいかないのです。このようにして、いったん遅延損害金がかさんでしまうと、なかなか元本が減らないということになります。

 さて、支払いを受ける側からすると、遅延損害金が増えて行くのは、受取総額が増えるという側面ではもちろん良いのですが、法律手続きの代理人をしていると、遅延損害金が存在するので手続き的にやっかいだと感じることもたまにあります。例えば強制執行をする場合、執行が完了するまで、遅延損害金は発生していきます。そんな中、申立時に遅延損害金を計算し、配当手続き中の債権計算書作成時にも遅延損害金を計算し、配当を受けるときにやっと配当を受けられる遅延損害金額が決まる、といった段階を踏みます。

 先日、法務局に供託されている金銭を執行して取得したのですが、たまたま債権者数が10名を超える人数で、かつ、債権額もまちまちだったので、その都度、申立日、配当日に従って遅延損害金の計算をし直し、配当されたものの中から各債権者の債権額に按分して各債権者の取得額を計算するというのは、少々作業に時間がかかりました。裁判所や法務局も、計算に時間をかけていたようです。時間と作業負担がかかるのでやっかいなのですが、上記のとおり、遅延損害金もかさむと馬鹿にならない額なので、なあなあにはできないところです…。