1.消滅時効とは

 料理屋1年、弁護士2年、医者は3年。さて何の数字でしょう。
 「桃栗3年、柿8年」のようにそれぞれが一人前になる期間?
 ではありません。これは現在の民法に定められている消滅時効の期間です。
 「消滅時効」はご存知でしょうか。「時効」という言葉はテレビ番組等でもよくお聞きになると思います。
 簡単に言ってしまうと、「何かを請求できる際に、一定の間ほったらかしにしておくと請求できないことになり得る期間」のことを言います。

2.現在の消滅時効

 さて、現在の民法では、この消滅時効の期間がかなり細かく分かれています。
 まず、

  • 「債権は、10年間行使しないときは消滅する。(民法167条1項)」
  • 「債権または所有権以外の財産権は、20年間行使しないと消滅する。(同条2項)」

 という定めがまずあります。
 冒頭で挙げた

  • 医師などの診療請求権等は3年(民法170条1号)
  • 弁護士等の職務に関する債権は2年(民法172条1項)
  • 旅館・料理店等の宿泊料・飲食料等は1年(民法174条4号)

 という定めがあるほかに、消滅時効が3年の債権・2年の債権・1年の債権それぞれついても、そのほかにいろいろな種類があります。また、民法だけでなく商法にも消滅時効の規定があります。

3.債権法の改正について

 このような細かい規定はわかりづらいということもあり、債権法の改正に伴い改正が目指されています。平成27年2月10日に公開された債権法改正の要綱では
 「民法第170条から第174条までを削除するものとする」
 とされており冒頭のような時効期間の違いを無くす旨が記載されています。
 この「職業別の消滅時効等の廃止」自体は「債権法改正」内の「消滅時効の改正」内の一部の話ですが、「債権法をわかりやすくする」という債権法改正の目的の一つが表れている一例ともいえるでしょう。