Ⅲ 執行役員制度への対応

 以上のことから、執行役員制度を導入するに際しては、執行役員が果たして雇用の下にある労働者型であるのか、取締役等と同じく経営者側にある委任契約型であるのか、きちんと区別し、理解した上で運用を行っていく必要性があります。

 上述の裁判例のように、執行役員規定により、従業員と区別されているような規定が存在するとしても、実態として代表取締役や取締役会等の指揮監督命令下にあるか否かによって、どちらのタイプの執行役員制度を運用しているのか、判断した上で、処分等を含めた制度運用を行っていくべきであると考えられます。

 なお、会社法上の取締役や委員会設置会社における執行役等は、会社法上特別な規定により選任等される存在である為、基本的には労働者性を有しないと判断されることになるため、会社内で独自に執行役員という名称を使った役職を設定した場合に、問題になるという点にご留意ください。

弁護士 中村 圭佑