そのため、Xの執行役員としての業務内容の実態を検討することとなったところ、Xは執行役員となった前後で業務の内容が大きく変わっていないこと、経営会議と呼ばれる会議には出席するようになったが、経営会議は会社法上求められている取締役会等ではなく、経営会議における意思決定については取締役会が最終決定するものであること、Xの業務は経営陣に属する者でなければ担当することはできない性質のものではなく、一般従業員の管理職によっても担当し得る業務であること等から、Y社における執行役員は、事業主体の期間として法律上定められた業務執行権限を有する者ということはできないため、経営担当者に当たるということはできないとしました。

 そのうえで、Xは執行役員という地位にあったものの、その業務実態は、Y社の指揮監督の下にその業務を遂行し、その対価として報酬を受けていたということができ、従業員としての実質を有していた者と認めることができるとし、Xの労働者性を認めました。