皆様こんにちは。弁護士の菊田です。
 今回は、消費者契約法(以下「法」といいます。)の、不適切な勧誘行為についてのお話しです。

 不適切な勧誘行為は、法4条3項に規定されています。
 条文上、

(ⅰ)事業者が消費者に対し契約締結を勧誘する際に
(ⅱ)
 (A)住居又は事業を行っている場所から退去すべき旨の意思表示をしたにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと
 (B)事業者が勧誘している場所から消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から消費者を退去させないこと、のいずれかを行って
(ⅲ)消費者が困惑し、契約の申込みまたは承諾をしたこと

 が要件として規定されています。

 この要件を満たす場合、消費者は、契約の申込みまたは承諾の意思表示を取り消すことができ、その結果、契約は原則として契約時に遡って無効となります。

 上記(ⅱ)(A)の例としては、家にセールスマンがやってきて、住人が帰ってほしいとの旨を伝えること等があたります。なお、この意思表示は必ずしもはっきりと言葉にされる必要はなく、「時間がありませんので」等、暗に断るようなものでも該当します。
 (B)の例としては、例えば、店舗等において客が店舗から出ようとしているのに、執拗に引き留めること等がこれに該当します。

 そのため、こういった勧誘による販売等を業とする事業者にとって、この条文は気を付けなければならない条文であるといえます。せっかく契約をしても、上記のようなことを主張されて、契約が取り消されては意味がありません。
 そのため、何か書面を交わす、あるいは客が帰りたそうにしていたら無理に引き留めたりしないようにする、等何らかの措置を講じておいた方が、予想外のトラブルを防止することにもつながります。

 次回以降は、消費者契約法のうち、契約内容自体を問題にするものについてお話します。