皆様こんにちは。
 本日は、船荷証券についてのお話しをさせて頂こうと思います。

 船荷証券(Bill of Lading)は、現在、国際的な取引において頻繁に用いられていますが、今回はその法的な効力についてお話しようと思います。

 そもそも、運送契約は、取引における荷送人と運送人との間で締結される契約であり、原則として、荷受人に対しては何ら権利義務を生じるものではありません。しかしながら、このような考え方を貫くと、荷受人はいざ荷物が運ばれてきても、法的には運送人に対して荷物の引渡しを請求できない等の不都合が生じ、運送契約を締結した意味がなくなってしまいます。船荷証券には、この不都合性を解消する機能があります。

 船荷証券には、大きく分けて、①債権的効力と②物権的効力があります。

 ①債権的効力とは、その所持人が、運送契約上の債権の履行を運送人に対して請求できる効力です。この効力によって、船荷証券が荷送人から荷受人に対して譲渡されると、荷受人は運送人に対して、本来であれば荷送人が運送人に対して有する、損害賠償請求権等の債権を行使できることになります。

 ②物権的効力とは、船荷証券の引渡しが運送品自体の引渡しになるという効力です(国際海上物品運送法10条、商法575条)。運送品の所有権自体は、日本法によれば、売買契約が成立したときに移転します(民法176条)が、引渡しがされなければ、その所有権を第三者に対抗できません(同法178条)。船荷証券の引渡しは、この引渡しとしての効力を生ずるため、万が一運送人が運送品の引渡しを拒絶しても、荷受人は運送品を引き渡すよう請求できます。
 なお、逆に、運送品の引渡しは、船荷証券と引き換えでないとしてもらえません(国際海上物品運送法10条、商法584条)。

 以上が、船荷証券の本来的な効力の説明になります。船荷証券には、現実には、他にも様々な機能を有していますが、今回のところは割愛させて頂きます。