株式会社は、原則として株主総会の普通決議を経て、かつ会社の純資産額が300万円以上であること、分配可能額の限度内であること及び会社法、法務省令が要求する準備金の計上を行うという要件を充たす限り、1事業年度に何度も剰余金の配当をすることができます。
しかし、剰余金の配当として支払われた額は、分配可能額を計サインする上でマイナス項目であります。そのため、剰余金の配当を行う度に、分配可能額は、減少していきます。
ただ、会社法は、臨時計算書類の制度を設けています。最終の事業年度の後の一定の日を臨時決算日として臨時貸借対照表、臨時損益計算書を作成することを認めるものです。臨時決算日までに利益が生じていれば。その額は、分配可能額に加えられ、分配可能額はその分だけ増えることになります。
分配可能額の多くが前の事業年度の利益とそれ以前の留保利益であることからすれば、臨時計算書類の制度は、現在の事業年度の利益からの前借りを認めるようなものといえるでしょう。
弁護士 大河内由紀