こんにちは。今回は、製造物責任法2条1項の「製造物」の範囲についてお話ししたいと思います。
製造物の範囲は、「製造又は加工された動産」で画されています。製造物とは、動産を意味しますから、不動産は除外されますし、養殖された魚や畑に生えている農作物は除外されます。
製造とは、原材料に手を加えて新たな物品を作り出すことを言います。加工とは、材料となる動産を工作して、新しい価値や属性を加えることを言います。例えば、献血で採取された血液が汚染されていたとしても、血液は製造または加工されているわけではないため、製造物の範囲には含まれません。
製造物責任法を起草した政府の委員によると、切断、冷凍、乾燥などは加工ではなく、加熱、味付けなどが加工に該当するとのことです。したがって、例えば、スーパーでパック販売されている豚肉は単に切断しただけですから加工の定義に該当せず、したがって製造物とは言えないのに対し、ウインナーは加工に該当し、製造物の範囲に含まれることになります。
ただ、必ずしも切断、冷凍、乾燥などが加工ではない、とはいえないでしょう。確かに魚を乾燥した干物は加工には該当しませんが、本枯節のような鰹節は加工ではない、という見解があるならば私は違和感を覚えます。
なお、多くの工業製品は、様々な部品が組み合わされて製造されています。とすると、一つの部品に欠陥があるため、完成した製造物自体が欠陥商品になっている場合、部品を提供した業者のみならず、欠陥商品を販売した業者も責任を負うことになります。