皆さん、こんにちは。

 4月12日の記事では、出願して特許による保護を受けるためには発明の内容を実施できる程度に記載することが要件となっていることを説明しました。このような要件を要求することで、有限な資源が重複的に投資されるという事態を防ぐことができるようになると説明しました。
 (記事はこちら:出願するにあたっての注意!???

 しかし、これにより重複的な資源の投入を防止できたとしても、同じような発明を2人以上のものがしてしまった場合どちらを保護すべきでしょうか。

 同じ発明を2人以上のものがしてしまった場合どちらを保護すべきかという点については、先に発明をした人を保護すべきだという考え方があります。これを先発明主義といいます。この考え方は先に発明をしたものの方が社会に対する貢献度が高いことを理由とするものであり、ある意味シンプルな考え方といえるかもしれません。

 しかし、どちらが先に発明をしたのかを特許庁の審査官が判断するのは非常に難しいです。さらに言えば、どちらが先に発明をしたのかの判断ができないということも考えられます。

 また、先に発明をしたものがずっと出願を控えておくことも考えられます。このようなことを許すと、同じ発明をするための資源の重複投資という問題が再度生じてしまいます。

 そこで、同じ発明をした者のどちらを保護すべきかという問題について先に出願をした者を保護するという考え方があります。これを先願主義といいます。この考え方によれば、どちらが先に出願したかの判断は比較的容易であるし、発明をした人は、発明を秘匿することなく急いで出願をしようとすると考えられます。こうすることで、同じ発明をするための資源の重複投資という問題も避けることができます。

 以上のように、特許法は先発明主義よりも先願主義の方が合理的な考え方であると考え、先願主義を採用しています。皆さんも、何かを発明した場合は隠すことなく急いで出願することをおすすめします(笑)。

 それでは、また。

弁護士 福永聡