皆様、こんにちは。

1 イントロ

 テレビCMなどの宣伝で一般の方が消費者として商品の感想などを述べたりすることがありますが、宣伝を行う側によって用意された人たちのことを「サクラ」と呼んだりします。
 百聞は一見に如かずといわれますが、実体験をした人による説明は説得力があり興味が惹かれやすいと思います。そのため「サクラ」を立てる宣伝方法は前々から使われてきたわけですが、このような宣伝方法はインターネット上でも用いられています。それでは宣伝媒体の違いによって法的問題が生じることがあるのでしょうか?

2 ステルスマーケティングとは

 インターネットの普及を皮切りに個人でホームページの制作ができるようになったことやブログ(ウェブ上の日記)の登場によって個人が発信する情報を不特定多数の方へ伝達することが容易になりました。
 しかし、ネット上における情報発信者が何物であるかは事情を知る人でないとわかりません。そこで、あたかも一般の消費者を装って、さりげなく、商品等の宣伝を行う期わせるのです。これをステルスマーケティング(通称「ステマ」と略して呼ばれることもあります)。
 ステマは、ブログだけでなく、mixiやTwitterなどといったソーシャルネットワークにも拡がっているようです。

3 問題点

 例えば、グルメや映画などの情報について、転載の問題を除きますが、実体験した内容を感想として述べることや「オススメですよ」などと宣伝することは個人の日記の掲載ですので直ちに問題になるものではありません。
 逆に問題となるのは、対象となる商品やサービス等の情報を実際のものよりも良く見せてしまうような記事やコメントを意図的に載せてしまうことです。

 例えば、いわゆる口コミサイトにおいて、ブログサービスを提供している事業者が広告主に対して、ブロガーの記事を掲載するという手段でプロモーションサービスを提供していることがあります。
 口コミサイトは通常、対象となる商品やサービスを受けた利用者の感想等が掲載されています。これら自体は景品表示法によって規制されている「表示」ではないので、記事の内容について直ちに問題が生じるということはありません。
 しかし、サイトの事業者自体が顧客を誘引するための手段として、口コミ情報を自ら掲載する際、その情報が実際のものよりも著しく優良であると誤認させたり、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると誤認させるような表示になっていた場合には景品表示法が規制する「不当表示」(法4条1項)に該当する可能性があります。

 すなわち、実際には付属していないサービスや効能などを書き加えて宣伝してしまうと不当表示であるとの評価を受けることになります。事業者がそのような記載を行っていることを判りにくくするため、ステマという手段が想定でき、近時において騒がれているようなのです。

4.まとめ

 今や広告宣伝においてインターネットが欠かせない状況となりましたが、その手法については当たり前のことながら正確な情報を掲載しなければならないとするのが景品表示法の趣旨です。不当表示に該当する記事については消費者庁による調査を実施し、違反行為があると判断された場合には措置命令が下され、消費者庁のホームページにも措置命令が下された旨が掲載されます。

 かつてから出来レース的な宣伝方法はあったのかもしれません。しかし、個人による掲示板等への書き込みやブログ記事の掲載についてもサイトの事業主が内容を盛るように仕向けてしまうのは、顧客の判断を誘導させたり謝らせたりするおそれがあり、更にトラブルを増やしかねません。
 バレないように宣伝しようと考えるよりは、自社商品に対するお客様の感想やご意見をきちんと集めて伝えて行く方が近道であるような気がいたします。

 今回もお付き合いいただきありがとうございました。