今回は、地震の影響で生じたトラブルについて法律相談を受ける機会があったので、その話をしたいと思います。

 先日、地震によって、リース契約で使用していたリース物件が壊れて使えなくなってしまったのに、リース残代金を支払い続けなければならないのか、リース残代金を支払い続けなければならないとしても、新しいものを提供するように請求できないのか、という相談を受けました。

 リース物件が不可抗力によって滅失した場合、リース契約は、リース業者が物件を使用収益させることができずに履行不能となり、民法の原則に従えば、リース業者はリース料の支払いを求めることができなくなります。

 また、リース契約は賃貸借契約の一種でもあるので、民法によれば、滅失部分に応じたリース料の減額請求や、残存部分では目的を達成することができない場合には解約もできるはずです。

 しかし、リース契約では上記のような民法の原則が特約によって排除されていることが通常です。特約では、リース期間中、リース物件が地震のようなリース業者の責任でもユーザーの責任でもない原因で使用不能になった場合、ユーザーに解約権はなく、原則として直ちに約定の損害金を支払わなければならないと定められていると思います。
 したがって、ユーザーは、滅失部分に応じたリース料の減額請求はできず、残存部分のみでは契約の目的を達成できないような場合でも解約請求はできないということになってしまいます。

 また、リース業者に新しいリース物件と交換するよう請求することもできないと考えられます。

 ただし、リース物件に保険が掛けられており、保険金が支払われた場合には、特約による約定損害金の負担は軽減されると考えられます。