従業員の在職中に競業行為や競業準備行為が発覚した場合、会社としては、いかなる対応を取るべきでしょうか。当然、いきなり訴訟などを起こすのではなく、まずは、内容証明による警告文を送るようにした方がいいと思います。もし、事前に競業行為を防止できますし、後の裁判で、在職中に競業準備行為を行っていたことの証拠としても有用になるからです。
警告文の内容としては、基本的には、その従業員の行為が会社の就業規則に反すること及び就業規則違反の場合に課される罰則の適用をする可能性があること記載すべきです。このような内容にすることにより、その従業員に懲戒解雇処分を下すことになった場合に、会社が適正な手続きを取って従業員に処分を下したことの証拠となるからです(懲戒解雇の有効性が裁判所で争われる場合、解雇された従業員は、適正な手続がとられていなかったと主張してくることが非常に多いです)。
もちろん、これに加えて、競業行為や競業準備行為の中止要求、それを行わない場合に損害賠償を請求するという内容も記載しておくべきでしょう。
また、退職後に従業員の競業行為が発覚した場合にも、内容証明による警告文を送りましょう。在職時ほどの効果は得られないかもしれませんが、設立間もない会社にとっては、このような警告文が送られるだけで、事実上の効果として営業面に不利益に働くことが大いに予想されます。
弁護士 竹若暢彦