こんにちは。
 今回は、独占禁止法の話をしたいと思います。

 独占禁止法(以下「独禁法」といいます。)は、公正かつ自由な競争を促進することによって、一般消費者の利益を確保し、国民経済の民主的で健全な発達を促すことを目的とする法律です。独禁法には、おおまかに言って、「私的独占」「不当な取引制限」「企業結合の規制」「不公正な取引方法」の4本柱の規制があります。
 まずは、このうちの「不公正な取引方法」についてお話したいと思います。

 独禁法は、「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない」としており、不公正な取引方法に対しては、公正取引委員会による排除措置がとられますし、場合によっては課徴金も課されます。また、私人による損害賠償の請求を受けたり、差止請求を受けたりする可能性もあります。
 不公正な取引方法は、類型化されて公正取引委員会の告示によって指定されています。
 この類型の1つに、「不当な取引拒絶」があります。

 取引先の選択は、本来営業の自由の1つです。しかし、通常の経済活動の一環とは認められないような取引拒絶もあります。
 たとえば、ある人気のおもちゃを売っている事業者A、B、C、Dが、そのおもちゃを作るのに必要な専用機械を販売しているY(おもちゃを作るために必要な専用機械の販売のほとんどをYが占めているとします。)と一緒になって、「Yがその専用機械をA~D以外に販売するにはA~DとYが協議することにする」と決めて、そのおもちゃの販売に新規参入しようとする事業者に、その専用機械を販売しないという取引拒絶を考えてみます。
 このような場合、そのおもちゃを販売できる事業者が制限されるため、競争が抑えられて、価格維持が期待できます。そのため、「公正かつ自由な競争を促進することによって、一般消費者の利益を確保し、国民経済の民主的で健全な発達を促す」という独禁法の目的に反するとして、違法性を帯び、不公正な取引方法として規制されます。

 公正取引委員会が出しているガイドラインでは、市場におけるシェアが10%以上またはその順位が上位3位以内であるような有力なメーカーが、取引先販売業者に対し、自己の競争者と取引しないようにさせることは、違法性を帯びると指摘されています。
さらに、平成21年の法改正により、正当な理由がないのに自己の競争者と共同して、上の例のような取引拒絶をする場合には、課徴金の対象となりうることになりましたので、注意が必要です。