こんばんは。長谷川です。
 桜も散ってしまいましたね。でも、私は、葉桜ぐらいが、色彩的には好きだったりします。

 さて、引き続き、下請法の禁止行為についてです。
 今日は買いたたきについて説明しますね。

 買いたたきとは、発注する物品・作成物等に通常支払われる対価に比べ、著しく低い下請代金を、親事業者が一方的に定めることを指します。
 「通常支払われる対価」とは、同種又は類似したものの一般的な市価です。
 即ち、同じような取引の給付内容について、その下請事業者の属する取引地域で一般に支払われている対価(通常の対価)のことをいいます。
 この通常の対価の把握が困難な場合には、従前の同種の取引における価格を「通常支払われる対価」として取り扱います。

 買いたたきを禁止した趣旨は、親事業者が、その優越的地位を利用して、下請事業者に対し、限度を超えた低価格を下請事業者に押しつけるなどすることがしばしばあり、そういった行為によって、下請事業者の経営が圧迫されかねないからです。

 では、買いたたきなのか、適正な値段交渉・値段決定なのかといった区別は、どうやって判断するのでしょうか。
 まず、①その価格が著しく低いといえるような価格水準か否かが問題になります。具体的には、「通常支払われる対価」と「下請事業者の給付に対して支払われる対価」との乖離状況や、当該給付に必要な原材料等の価格動向などを踏まえて判断するというのが1つの基準になります。

 また、②下請代金額を不当に定めていないかどうか(下請事業者と十分な協議が行われたかどうかといった点)や、対価が差別的であるかどうかといった点も判断基準となります。
 特に、親事業者が、下請事業者の事情を十分に考慮して協議を尽くしているかどうかといったところが重要になります。たとえば、価格を低く定める際には十分に協議を尽くしている為、買いたたきには当たらないような事例であっても、その後、下請事業者が価格の引き上げを希望したにも関わらず、十分な協議をしないまま一方的に価格を据え置いたような場合には、なお、買いたたきと判断される恐れがあります。
 つまり、あくまでも実質的に考えるということです。
 その為、買いたたきと判断されないよう、くれぐれも、下請事業者との協議は丁寧に行う必要があります。

弁護士 長谷川桃