弁護士 岡本珠亀子

 

 こんにちは。

 本日は、法人である主債務者が破産した場合、保証人は主債務の消滅時効を援用することができるか、についてお話します。

 

 通常、主債務の消滅時効が完成すれば、保証人は、主債務が時効により消滅したことを主張して(これを「主債務の消滅時効の援用」といいます。)、保証債務の支払いを拒むことができます。

 

ところで、法人が破産してしまうと、その法人格が消滅します。それゆえ、主債務者が法人である場合、主債務者が消滅することになります。では、それとともに主債務それ自体も消滅するのでしょうか?もし、消滅するとすれば、上で述べた主債務の消滅時効の援用ができないことになるのではないか、という問題が生じえます。

 

この点について判断した次のような判例があります。

 

[最高裁平成15年3月14日判決]

 本件の事案の概要は、およそ以下のようです。

 X信用保証協会は、A社の借入金債務を保証した。

 Yは、A社のXに対する求償債務を連帯保証した。

 A社は、破産手続開始決定を得た。

 Xは、A社に代わって借入金債務を弁済し、A社に対する求償債権が破産債権となった。

 ところが、保証人Yは、求償債権にかかる遅延損害金を支払わなかった。

そこで、Xは、破産手続終結の約9年半後に、連帯保証契約に基づき、保証人Yに対し、求償債権の支払いを求める訴訟を提起した。

 Yは、主債務の時効消滅(本件においては、商事時効5年が適用される。)とともに保証債務も消滅したと主張して争った(主債務の消滅時効の援用)。

 

 本判決は、法人の法人格が消滅した場合には、これにより法人の負担していた債務も消滅するものと解すべきであるから、もはや存在しない債務について時効による消滅を観念する余地はない、として、破産により消滅した法人を主債務者とする保証人は、主債務の消滅時効を援用することはできない、と判示しました。

 

 この判決によれば、保証人は、主債務者たる法人が破産すると、主債務の消滅時効を援用することができなくなってしまうと考えられます。本判決の結論としては、保証人が保証債務自体の時効消滅を主張していると解する余地があるとして、本件を原審(高等裁判所)に差し戻しました。

 他方、債権者は、法人の債務者が破産した場合、保証債務自体の時効の管理に注意を払わなければならなくなると考えられます。

以上