1 日本航空の経営破綻
日本航空の経営再建に向けて、公的資金が投入されるようです。
国民の税金を使わないと再建できない、大規模なリストラだけでは再建できない、ということは、日本航空は経営破綻したということですよね。単なる経営不振ではありませんね。
個人的には複雑な心境です。国民のひとりとして私たちの税金で経営破綻した企業をなぜ救済しなければならないのか。でも、利用者のひとりとして日本航空がなくなってしまうのは寂しい気もする。若い頃、スチュワーデスさんとよく合コンもやった(笑)。最近だと、マイルもかなりたまっているので利害もあります(爆)。
2 日本の航空会社の生い立ち
日本航空は1951年に創業しました。ちなみに、全日空はその翌年の1952年創業です。
でも、その生い立ちはかなり異なるようです。
日本航空は、「日本航空株式会社法」に基づいて設立された特殊法人で政府の出資も得ていました。いわゆる半民半官です。完全に民営化したのは1987年です。それにしてもすごいですよね。日本航空のための法律があったんですね。
これに対し、全日空は、日本ヘリコプター輸送株式会社として設立されました。そして、こちらは純粋な民間会社としての創業だったんです。
このような生い立ちや歴史の違いを見ると、日本航空は全日空と比べると、かなりお役所体質だったのかなあ、なんて想像できちゃいます。
その後、日本航空は、2002年9月、今はなき日本エアシステム(通称、JAS)と経営統合します。結果、当時の国内線で48%、国際線で75%のシェアを握り、有償旅客キロ数で世界第6位の航空会社になったそうです。日本航空のガリバー化が進んだわけです。
しかし、日本航空を含む航空会社を取り巻く経営環境は、この経営統合よりも前から確実に厳しくなっていました。
まず、1995年に割引運賃に関する規制が緩和され、普通運賃を一定の範囲で自由に設定できるようになりました。
そして、1997年に単独運行規制が廃止。その結果、同一路線に複数の航空会社が乗り入れできるようになり、顧客は航空会社を選べるようになった。
その後、スカイマークエアウエイズと北海道国際航空(通称、エア・ドゥ)が1998年に誕生、スカイネットアジアが2002年に誕生しました。格安航空会社の誕生で本格的な価格競争が始まったんです。
このように経営環境がどんどん厳しくなり競争も激しさを増す中で、ニューヨークの同時多発テロやリーマンショックが起きたわけですから、航空業界はたまりませんよね。
お役所体質が最も強いと思われる日本航空がまっさきに大打撃を受けるのも納得です。
国民の税金で再建させるわけですから、是非この機会に真の競争力を身につけて、世界を代表するリーディング・カンパニーに生まれ変わってほしいと思います。