1 政治主導?
2009年9月26日付け日経新聞朝刊に「日航再建、政治主導で」という大きな見出しで、JALの再建に関する記事が掲載されていました。
同紙によると、前原誠司国土交通大臣が、9月25日、JAL再建のために専門家により構成される「JAL再生タスクフォース」を設置したそうです。
タスクフォースの構成員は、そのほとんどが産業再生機構のOBで、野村証券顧問の高木新二郎氏がリーダーを、経営共創基盤の冨山和彦氏がサブリーダーをつとめることになりました。
でも、この「政治主導」での再建は、いやな臭いがします。前原国土交通大臣は、日航の経営改善計画案について、不十分としているそうです。約6800人の人員削減、50路線の廃止が盛り込まれている計画案なのにです。
ということは、これかけの大規模なリストラを実施しても、50にも及ぶ路線を廃止しても、公的資金が投入されなければ再建できないような企業に私たちの税金を使って救済するなんてふざけた話だとは思いませんか?
現在のところ、前原大臣は厳しい姿勢でいるようにも見えますが、「政治主導」でやるということは、最終的に公的資金を投入することになるのではないかと嫌な予感がします。
2 公的資金を投入するくらいなら潰すべき
航空会社の「公益性」というビッグワードを使って、国民の税金による私企業の救済を正当化することはできません。
私は、公的資金を使ってJALを救済することに強く反対します。
第1に、航空事業の公益性を理由に公的資金で救済することがまかり通ると、経営の怠慢を招きます。もしも、経営破綻しそうな法律事務所が公的資金で救済されるなんてことが起こったら(そんなこと絶対にありませんけど)、私の法律事務所経営だって怠慢になります。やばくなったら、税金で助けてもらえるんですから。経営の甘えの悪しき慣行を築いてどうするんでしょうか。公益性の強い企業が経営破たんするたびに、国民の税金を使うんでしょうか。
第2に、公益性とか言いますが、JALが潰れてしまっても、飛行機の利用者はたいして困らないと思います。JALでなくれも、世界中の航空会社の航空機が日本の空港に乗り入れています。JALがなくなったからといって、私たちの足が止まるわけではありません。ましてや、JALは再生計画の内容として50路線も廃止しようとしているんでしょ。JALを利用できない路線がたくさんできることが前提となっている再建計画なわけですから。利用者の足に対する影響度は、公的資金投入の根拠にはなりえないはずです。
第3に、JALが倒産したら多くの関係者が失業することになりますが、それを避けるために税金を使うことは断じて許されてはなりません。そんなことで救済することが正当化されてしまったら、公益性ではなくて、大企業は全部救済しようなんていう話になりかねません。しかも、航空業界は全般的に組合が強く、JALも例外ではありません。このことが人件費を膨大なものにし、航空会社を高コスト体質にしてしまった大きな原因のひとつです。組合が強ければ税金で救済されるなんて背理です。同じ船に乗りすぎたんですから、沈む時は一緒です。
どさくさ紛れに、JALの救済のために私たちの税金が無駄に使われることがないよう、しっかり監視する必要があると思います。