2009年7月26日、全国各地の弁護士会で第1回目の事務職員能力認定試験が実施されたそうです。
全国で2132名が受験したそうです。
ちなみに、60点満点中平均点が42.2点なのでで、約7割を正解していることになります。満点を取った人も4名いたそうです。
この試験は、弁護士秘書としての能力を認定する試験ではなさそうです。というのは、出題されているのは法律に関する設問で、受験生は六法をめくりながら受験しているからです。
そうすると、事務職員能力認定試験の実質は、パラリーガル認定試験と呼んだほうが適切かもしれません。
2000名を越える受験生数を多いと見るか少ないと見るかは評価の分かれるところだと思いますが、この試験が定着し、優秀な法律事務所職員が多く育つことは、私たち弁護士にとって好ましいことではあります。
かつて、法律事務所の職員は、秘書とさえ呼んでもらえず「事務員さん」という呼称が一般的でした。というのは、伝統的に私たちの弁護士業界では、職員に法律にかかわる仕事は一切させてはならないという習慣があり、職員の主な仕事は電話番、お茶くみ、コピー取りがせいぜいだったんです。
したがって、法律事務所は、従来、高学歴で優秀な人が選ぶ就職先ではありませんでした。
ところが、弁護士の仕事の生産性を向上させるため、職員にも法律的な仕事をさせる法律事務所が増えてきたんです。そのような時代の流れの中で、弁護士会自身も事務職員対象の研修を行うようになりました。この研修の中身は、ビジネスマナーの研修ではなく、法律の研修です。
こうして、事実上、法律事務所の事務職員は、だんだんパラリーガルに変容していったんです。そんな時代の流れの中で、この認定試験が始まりました。
しかし、これは、就職難に苦しんでいる司法修習生にとっては、私は逆風だと見ています。パラリーガルが優秀であればあるほど、弁護士を雇用する必要性は減少します。なぜならば、弁護士とパラリーガルでは、雇用主である法律事務所が支給する給与にも大きな差がありますし、また、独立しやすい弁護士よりも組織への帰属意識の高いパラリーガルのほうが、事務所に対する忠誠度も断然高いと言えるからです。
新司法試験が始まり合格者数が急増していますが、司法試験を目指す人にとって、またひとつ頭痛の種が増えました。